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「私の中のあなた」は原作はジョディ・ピコー原作のベストセラー小説で、日本では2006年9月に出版され2009年に原作を元に作られた映画が公開されました。今回は映画と実話の結末の違いについて深堀りしてみます。また、登場人物の相関図や映画の見どころ、感想をまとめました。
この記事では
私の中のあなた 実話と原作の結末の違いとネタバレあらすじ
私の中のあなた 登場人物相関図
私の中のあなた 実話と原作の結末の違いの感想
以上についてまとめました。
私の中のあなた 実話をもとにした原作小説、結末の違いとネタバレあらすじ
映画と実話(原作)を比べてそれぞれの結末をまとめました。
白血病の姉を救うために人工授精によってドナーとして妹が生まれます。その妹が弁護士を雇って臓器提供を強いる両親を相手に訴訟を起こす、という内容です。
これだけでも、重すぎる内容ですが、その裏側にはもっと深い理由がありました。映画の結末は流れにそったものですが、原作での結末には驚きが隠せませんでした。
私の中のあなたのあらすじの結末は?
フィッツジェラルド家のメンバーは消防士の父親、元弁護士の母親、そして3人の子供たちです。
フィッツジェラルド家の3人兄妹。
長女ケイトは白血病で闘病中、失語症の長男ジェシー、そして次女のアナ。両親はケイトを助けたいがために、ドナーとして人工授精を試み、そしてアナが生まれました。
アナは自分では何も決められないくらいの小さなころから、両親の言うとおりにケイトにあらゆるものを提供させられて育ちました。小さい時からずっと訳も分からず痛い思いをしてきたアナ。だからと言ってケイトを嫌う事もせず、専属の看護師のようにケイトの世話をします。
母親のサラはケイトの看病に全身全霊を注ぎ込んできました。腎不全をおこしたケイトは腎移植が必要になりアナをドナーにしてチャンスにかけようとします。
「ママは私が細胞2つになっても電気ショックをかけるわ」とケイトに言わせるほど、その愛情の深さはもはや「執着」と言っても言い過ぎではないでしょう。愛情を通り過ぎて、偏狂的でもあります。
弁護士と言うキャリアを捨ててまで、ケイトの看病にかかりきりなのだから、死なせるわけにはいかない、と言ったような意地みたいなものはなかったでしょうか?ここまでやるのはケイトの事を思って、と言うよりも自己満足のため?そんな風に思わせるほどの偏った愛をキャメロン・ディアスは見事に演じ切ったと思います。
訴えられた両親
両親は何の疑念もなく当然アナが臓器提供をするものだと、思っていました。ところが、アナは提供を拒否し逆に敏腕弁護士キャンベルを雇い、両親を相手に訴訟を起こすのです。これ以上、提供はしたくない、と。
母親のサラの元に召喚状が届き、その時初めてアナに訴えられたことを知り、驚きと怒りが沸き起こります。アナが臓器提供をすることについて、サラは何の疑問も持っていなかったのです。しかしアナは母親に立ち向かって「自分にも選択肢はある」と強く言い放ちます。「私だって人間なのよ」
この状況の中で救いがあるとすれば、父親ブライアンの存在です。ケイトを救いたい気持ちはサラと同じですが、客観的な見方もできました。アナがドナーになることを拒否したことに戸惑いますが、激怒するサラから遠ざけて自分の職場である消防署にアナを連れていきます。
そこで楽しそうに笑顔を見せているアナを見て、自分たちのしている事を立ち止まって見つめ直すのです。
ケイトの恋
ケイトは、自分の存在が家族の幸せを犠牲にしてきたことを、つらく思っていました。実は、アナに裁判を起こさせたのは他ならぬケイトでした。生きることに疲れたケイトは、生かせようとするサラから自由になりたいと考えていました。そしてアナに訴訟を起こさせて移植を拒否するように計画をたてたのでした。
そんな時、同じ白血病を患うテイラーと知り合い、お互い魅かれ合って恋に落ちます。普通の女の子のようにデートをしたり、ダンスパーティにドレスを着て参加したり。キスをしたのよ、と妹のアナに伝えるシーンがとても可愛くて幸せそう。
この時、本作中で生きて輝きを放つケイトが描かれていました、いかに「生き永らえさせる」ではなくて「生きている」事にフォーカスしたエピソードでした。
裁判の結末
サラはケイトの事ばかりにつきっきりで、息子のジェシーとの絡みがほとんどありません。ジェシーは幼い頃に失読症になり1年間施設へ入ることになります。そうなったのも両親がケイトの方ばかり向いていたからに違いありません。時折見せる表情が切なかったですね。
妹たちの計画を知っていて、静かに見守っていましたが、法廷で母親のサラのアナに対する攻撃に耐えられなくなって、ついに真実を激白します。ケイトは死にたがっていると。
両親以上に子供たち3人は強いきずなで結びついていて、お互いを理解し合っていました。サラはアナだけでなく、必死で守ろうとしていたケイトの意志までもを踏みにじっていた事にやっと気づかされるのでした。最期は母親をまるで我が子を抱くように横たわるケイトの姿が底知れぬ愛情にあふれていて神々しくさえもありました。
私の中のあなた実話をもとに書かれた原作小説の結末は?
原作となったジョディ・ピコーの小説“My Sister’s Keeper”は実際にあった出来事がモデルになっています。1991年、カリフォルニア州に住むある夫婦が白血病になった娘に骨髄移植をするドナーとして、子どもを新たにもうけたというもので、当時は「倫理に反する」と論争が起こりました。
実話があった!
当時16歳だったアニッサ・アヤラさんは突然「白血病」を発症、しかも珍しい型の白血病で骨髄移植しか治療法がないというもの。家族は全員ドナーチェックを受けましたが一致するものはなく、一般に提供者を探すことになりました。
結局、見つけることはできず両親は大きな決断をします、ドナーとなる新たな子供を作る。ドナーになりえる可能性は低かったにもかかわらず、可能性に賭けてマリッサさんを出産しました。両親の願いは通じ、同じ型を持って生まれてきたマリッサさんから骨髄移植が行われ、アニッサさんは回復したのでした。
20年後のTVショーに登場した二人の姉妹はこう語っています。
誰でもそれぞれの意見を持つ権利がある」と尊重する姿勢を見せた現在21歳のマリッサさん。その中で姉に対する気持ちを聞かれると、「彼女の病気がなかったら私はここにいなかったし、型が一致しなかったら彼女もここにいなかった」と答えた。一方のアニッサさんは、当時母から赤ちゃんを作ると聞かされたとき、自分のためにという気持ち以上に、新たな命が誕生する「幸せ」を感じ、妹の誕生を心から喜んでいた。
実話における結末はこうです。
生まれるきっかけは姉の為だったとはいえ、両親から深い愛情をもって育てられ、普通の姉妹以上に強いきずなで結ばれているという事です。
実話をもとに書いた小説の内容と結末
さて、この事をモチーフに書かれた「ジョディ・ピコーの小説“My Sister’s Keeper”」はどんな内容になっているのでしょうか?
小説は、短いプロローグで始まります。
私の最初の記憶の中では、3 歳の私が、自分の姉妹を殺そうとしている。ときどき、この記憶はとても鮮明に蘇り、手の下の枕カバーのむずむずする感じや、掌に押しつけられた彼女の鼻のとんがりを思い出すことができる。彼女はもちろん、抗うこともできなかったけれど、やっぱりうまくいかなかった。その夜は家に帰っていた父が通りかかって、彼女を救ったのだ。父は私をベッドまで連れ戻して言った。「こんなことは、決して起こらなかったんだ。」私が小さかった頃、大いに不思議だったのは、赤ちゃんが〈どうやって〉作られるかではなくて、〈なぜ〉作られるかということだった。…私は特殊な目的のために生まれてき
たのだ。…」
3 歳の私が、自分の姉妹を殺そうとしている… 姉殺しの未遂の話を聞くと「旧約聖書」において人類初の人殺しをした、として描かれるカインとアベルの兄妹の話が思い浮かびます。カインが弟アベルを殺したのちに主はこう聞かれます「お前の弟アベルはどこにいるのか」この問いにカインは答えた。「知りません。わたしは弟の番人でしょうか。」
Sister’s Keeper”であるアナはドナーとしてだけでなく、その存在、行動すべてを姉のキーパーとしてあらねばなりませんでした。旅行に行ったり、友達と遊んだり、遠くの学校に進学する事も許されなかったでしょう。
このあたりまでは原作小説と映画はほぼ同じです。ここから先に違いがあります。
映画「私の中のあなた」実話をもとにした原作の結末の違い
裁判が進むにつれて、微妙な人間関係がじわじわとあぶり出されてきます。
映画「私の中のあなた」実話をもとにした原作の結末の違い 死んだのは…
アナは証言を渋っていましたが、ついに、腎臓の提供拒否と両親を訴えた事はケイトの考えである事を告白します。驚愕の事実が引き金となり、発作を起こすキャンベル。ここでキャンベル自身の病気も周囲の人々に明らかになるのです。翌日、アナの主張が認められ、アナはキャンベルを代理人として、自分の身体に対する決定権を委ねます。
映画ではアナは初めから両親を訴えたい理由を弁護士のキャンベルに伝えています。
ところが裁判所からの帰途、アナを乗せたキャンベルの車は大事故に巻き込まれます。消防士で救急隊長でもある父親のブライアンが交通事故現場に駆けつけると、悲惨な現場で死に瀕したアナに遭遇。ケイトのいる病院に運び込まれたアナは脳死を告げられ、キャンベルと両親は臓器提供を決心するのです。
エピローグには8年後のケイトが語り手として登場します。奇跡的に病気を克服しバレエ教師を務めるほどに回復しています。そして、失ったアナを回想します。が、思い出が薄れてきそうになると、シャツの裾を持ち上げて手術の傷跡に触れる…。
彼女の腎臓が私の中で働き、彼女の血が私の血管を流れていることを思う。どこへ行くときも、わたしは彼女を連れていくのだ
この最後の一文がタイトルにこめられた2重の意味に気付くのです。“My Sister’s Keeper”はアナではなくケイトの事だったのです。
映画「私の中のあなた」実話をもとにした原作の結末の違い ジェシーの場合
原作においてジェシーの存在は忘れられ、彼が学習障害の一つである失読症であることも気付くのが遅れ、結果彼を学習障害児が集まる支援キャンプへと送ることにします。
そのことが余計に彼の心を傷つけ、非行少年に。後に父であるブライアンは、ジェシーが放火までしていることに気づき、自身の仕事である消防隊員を利用してその事件をもみ消すことにしました。そんなジェシーも後に更生、警察学校を卒業するほどになります。
映画ではあまり表立った役ではなかったにせよ、アナとケイトを見守る優しさを持ったジェシーですが、問題を抱えているような印象がありました。ですが、その事は特に大きく取り上がられることがなく、所々で不必要なのでは?と思える不可解なカットがあり違和感を感じました。そんなカットを入れるくらいなら、もっとジェシーを表に出せば?と思ったのは私だけでしょうか?
以上が「私の中のあなた」映画と実話の結末の違いを比べたあらすじのまとめとなります。
映画「私の中のあなた」の登場人物と相関図
登場人物は多くない「私の中のあなた」ですが、主な登場人物の相関図を作ってみました、参考にして頂けたら嬉しいです。
映画「私の中のあなた」の相関図
ケイトとテイラーは抗がん剤治療の影響でスキンヘッド、母親のサラはケイトを鼓舞するために自らスキンヘッドになりますが、ここでは「髪の毛あり」で作っています。
映画「私の中のあなた」の登場人物とキャスト
相関図中の人物を生年月日、主な出演作品を添えて一覧にしました。
アンナ・フィッツジェラルド 主人公 姉ケイトのドナーとして生まれる、両親を相手に訴訟を起こす アビゲイル・ブレスリン 生年月日1996年4月14日(26歳) 出演作品 「リトル・ミス・サンシャイン」「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」 | |
ケイト・フィッツジェラルド 死期を悟った白血病患者。妹アナに両親を訴えさせる ソフィア・ヴァジリーヴァ 生年月日1992年10月22日(30歳) 出演作品 「ミディアム 霊能者アリソン・デュボア 」「シカゴファイヤー」 | |
サラ・フィッツジェラルド 母親 元弁護士 次女のアナからドナー拒否の訴訟を起こされる キャメロン・ディアス 生年月日1972年8月30日(50歳) 出演作品 「メリーに首ったけ」「ホリデイ」「ナイト&デイ」 | |
ブライアン・フィッツジェラルド 父親 消防士 家族の安定剤的な存在、子供たちを見守っている ジェイソン・パトリック 生年月日1966年6月17日(56歳) 出演作品「スピード2」「告発のとき」 | |
ジェシー・フィッツジェラルド アナとケイトの兄 失語症 姉妹の計画の成り行きを静かに見守る エヴァン・エリンソン 生年月日1988年7月1日(34歳) 出演作品 「硫黄島からの手紙」「CSI:マイアミ」「24 -TWENTY FOUR-6」 | |
テイラー・アンブローズ 白血病患者 ケイトと出会い愛し合う トーマス・デッカー 生年月日1987年12月28日(35歳) 出演作品 「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」「HEROS / ヒーローズ シーズン1」 | |
キャンベル・アレクサンダー 高勝訴率アナの弁護士 てんかんの持病を持つ 介護犬といつも一緒 アレック・ボールドウィン 生年月日1958年4月3日(64歳) 出演作品 「レッド・オクトーバーを追え」「ノッティングヒルの恋人」「ミッション:インポッシブルシリーズ」 | |
デ・サルヴォ判事 アナ対両親の訴訟を担当する。娘を亡くしており、家族に寄り添う事ができる ジョーン・キューザック 生年月日1962年10月11日(60歳) 出演作品 「ワーキング・ガール」「アダムス・ファミリー2」「スクール・オブ・ロック」 |
アレック・ボールドウィンとジョーン・キューザックの二人がこの映画をさらに底上げしていますね。
映画「私の中のあなた」実話と結末の違いの感想
内容について
これは実際にあった事です。
特別な白血病を発症した娘を助けるためにドナーとして妹を作り、提供させた。この家族は倫理を問われ、随分騒がれたそうです。結果として姉妹は元気に生存しており、幸せでいるという事実。
その「ドナーとしての子供を産んだ」と言う部分にフォーカスして書かれた小説“My Sister’s Keeper” 「私の中のあなた」 よくこのタイトルに訳したなと、本当に感心します。
姉のドナーとして妹を作り、腎臓移植を迫った両親、拒絶する妹は両親を相手に訴訟を起こす、裁判が開かれ、妹の主張が通り移植は行われない事に、その帰り道事故にあい脳死状態に。結局、臓器は提供され、姉は命を長らえる。
このかいつまんだあらすじだけを見たら、ドナーとして生まれてきた妹の立場が可哀そうすぎてひど過ぎる結末や、と思うのです。小説とは言え、そこまで「命」を弄んで許されるのかと、ちょっと怒りにも似た感情が沸き上がってきます。妹はどこで救われる?姉の身体の中で??? いや~、ないわ。悲しすぎる。
また、原作ではアナを医療決定における本人の意思が尊重される年齢の13歳に設定して子供にも決定権がある、と言う事も描こうとしていました。
とは言え、どこの子供が親を相手に訴訟を起こすなんて考えられる?13歳、まだ成人にも達してない子供です。日本では考えにくい設定なのではないでしょうか?
映画ではアナの年齢は11歳で医療決定権云々よりも親権の問題として変えられています、それにしても、ただ単に「美しい家族愛物語」や「難病を題材にした感動もの」ではない思うのですが「ドナーとして生まれた妹」アナの生い立ちがヒーロー物のような感じになっていて、いかにも映画的なとらえかたで描かれていてます。
結末はちょっとホッとする感じになっています。余命いくばくのケイトが亡くなって、元気なアナが生きている。
キャストについて
ラブコメの女王として笑顔の印象が強い、また独身で子供がいないキャメロン・ディアスが初の母親役?と、注目を集めました。彼女の母親ぶりを見て「キャメロン・ディアス、腹立つわ」と思った人少なくないのでは?それくらい見事に演じていたと思います。
白熱した裁判シーンは何度みても号泣してしまいます。アナを激しく尋問するサラの姿は本当に母親がここまでできるのか、と言うくらい怖いものでした。相手がわが娘でも、もとの敏腕弁護士時代に戻って、勝ちを取りに行くときの姿でした。
髪が抜けたケイトが外出したくないと言った時に、バリカンで頭を剃るシーンがあります。この映画の見どころの一つです。あれはかつらだったそうなのですが、実際に剃っていたらもっとすごかったのに、と少しがっかり。
ケイト役のソフィア・ヴァジリーヴァは実際に丸坊主になっていたそうです。体当たりの演技、迫力がありました。
実はこの映画を観る気になったきっかけがあります。それは、ソフィア・ヴァジリーヴァが出演していたからです。ずっと気に入って観ていたドラマ「ミディアム 霊能者アリソン・デュボア 」で、ソフィアはデュボア家の長女でした。子役の頃から見慣れていたソフィアが坊主頭で出ているのを見て、興味がわきました。 めちゃくちゃ好演でしたね、愛にあふれていました。
アビゲイル・ブレスリンも好きな女優です。「私の中のあなた」では子供らしくない達観したような目や、時々見せる深い表情が印象的でした。難しい役柄だったと思いますが、アビゲイル・ブレスリンは強さと繊細さを持ったアナを堂々と演じていました。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演の「幸せのレシピ」に出演していた時も母親を事故で無くした娘を好演していて、ファンになりました。憂いを含んだ役柄がよく似合う女優さんですね。
アレック・ボールドウィンも好きな俳優!大好きな映画(好き連発中)『レッド・オクトーバーを追え!』でジャック・ライアン役を演じた時は若かったなぁ。。。体重が増えて恰幅もよくなり、演じる役柄の階級もどんどん昇格していきましたね。この人が出演している映画に外れがない!と思っています。
映画「私の中のあなた」実話と結末の違い、ネタバレあらすじ登場人物相関図と感想のまとめ
実話であり、それを基にした原作小説、小説とは違う結末で描かれた映画、このテーマをよくぞ映画化したものだと改めて思いました。
この記事では
映画「私の中のあなた」実話と結末の違い、あらすじ(ネタバレ)
映画「私の中のあなた」の登場人物相関図
映画「私の中のあなた」の感想
以上についてまとめました。最後まで読んでくださってありがとうございました〈Pinoko編集局〉
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