かがみの孤城映画 結末と考察/ネタバレあらすじと感想

かがみの孤城アニメ

PR 本ページにはプロモーションが含まれています

かがみの孤城(かがみのこじょう)は2017年に出版された辻村深月による小説が劇場アニメ化され2022年に公開された作品です。いじめや不登校問題とファンタジーミステリーを融合させた不思議な物語

主人公は心に傷を持つ中学生の『こころ』ある日突然かがみの世界に引き込まれ、そこで出会ったオオカミの面を付けた少女や見ず知らずの中学生6人と出会います。「城のどこかにある願いの部屋の鍵を見つけた者はどんな願いも叶う」7人は協力しながら鍵を探すことになりました。

この記事ではかがみの孤城の結末やあらすじ、感想をまとめて様々な角度から考察してまとめたことをご紹介します。

映画『かがみの孤城』はこちらから!

映画観るなら<U-NEXT>

かがみの孤城映画 結末と考察

かがみの孤城の結末

かがみの孤城を創ったのは病気で病院のベッドに寝たきりの少女。その少女の願いは元気になって「雪科第五中学校」へ行くことでした。

病室にあるお気に入りのドールハウスに見立てた孤城を創って、いじめや家族の問題で学校に行けなくなった少年少女たち7人を召喚します。メンバーは全員が自分が行きたかった「雪科第五中学校」の生徒でした。

イジメの無い「孤城」という空間で同じ境遇の仲間たちと「孤城」にある『願いが叶う部屋』の鍵探しを通して、心のリハビリをします。そしてみんなは少しだけ強くなっていくのです。

子どもの世界

子どもの世界は大人が想像する以上に過酷です。現実の世界でもいじめる側は大人に対してそれをうまく隠します。首謀者は往々にしてクラスの人気者だったり、先生から気に入られている生徒の場合が多い。

本作の中で行われているいじめシーンは実際にあるシーンです。いじめる側はターゲットの精神を破壊することで高揚感を得ます。

いじめられる側は自分がターゲットになっていることを大人に対して必死で隠します。いじめられている者同士が仲良くすることなどありえません。とことん孤独の中に追いやられるのです。

本作で「かがみの孤城」に集められた生徒たちはそこで心のリハビリをして、ほんの少しだけ勇気を持つことができました。そして主人公のココロはずっと話せなかった自分が受けてきたいじめを母親に告白できました。

大人がどう関われるのか?

本作を観た大人たちに対して訴えていることは『大人たちがどう関われるのか?』です。

ここで関わる大人も2つに分かれます。いじめを体験したことがある大人と、体験したことがない、あるいはいじめたことがある側の大人です。

いじめを体験したことがある大人、それは本作では喜多島先生としてフリースクールのカウンセラーになり不登校児のサポートをするアキです。

自分がいじめられた経験があり、またかがみの孤城で同じ境遇にいる子たちと触れ合うことで、より深く寄り添うことができる大人になりました。

一方でいじめられた経験のない大人の代表はクラスの担任、若い男の先生です。いじめグループからは「イケメン先生」などと呼ばれて調子に乗っています。裏では何と言われているのか知りもせずに。

そんな大人が言うことは「いじめはない」「いじめる側にも事情がある」「いじめられる原因が何かあるのではないか?」「彼らも反省しているから話し合ってみたら?」「考えすぎではないのか?」

いじめられた経験がないから、いじめの構図がわからないのです。だからわからない、わからないから深く寄り添うことはできません。

いじめられた経験がある全大人に対して、もしいじめを受けている子どもに気づいたら手を差し伸べてほしい。いじめを経験していない大人は黙っとけ!と言いたい。

最終的にかがみの孤城で願いが叶った代わりにみんなとの記憶は失われます。ですが、アキがカウンセラーになる道を進んで喜多島先生としてココロやマサムネ、フウカ、ウレシノをケアしていったのはアキの中に孤城での記憶が残っていたからだと思えます。

フリースクールにはじめてココロが来た時に「大丈夫よ」と言ってテーブルの下でそっとココロの手を握るようなしぐさをしたり、フリースクールにすら来れないココロを家まで訪ねて「私の好きな紅茶なの」とストロベリーティーをプレゼントしました。

かがみの孤城で出会った中学生のアキが「私の好きな紅茶なの」とココロとフウカに「ストロベリーティー」をふるまうシーンがあります。アキはココロに「あの時の私がここにいるよ、安心して」と伝えたかったのではないでしょうか?

ただ一人かがみの孤城を創った少女(オオカミさま)の弟であるリオンだけは記憶を消されずにいたようです。4月にココロとリオンが再会したシーンでも、学校に向かうココロを待っていました。

かがみの孤城 考察といじめの経験談

テーマである『いじめ』に対してどのような着地点が用意されているのか?そこに大きな関心がありました。子ども達の中で行われている『いじめ』の世界に大人がどのように関われるのか?

いじめられている子どもはその事を隠そうとします。なぜなら大人に言えばイジメがエスカレートするからです。孤城で少しだけ強くなった子どもは、その少しだけ強くなった勇気で自分に起きていることを大人に伝えます。

まずは一番の味方になってくれるはずの両親です。親は自分の子どもが学校でイジメに遭っているのを知ると胸が張り裂けそうになるくらい辛いです、何とかしようとします。

学校の先生はどうでしょう?「うちの子がいじめられています。」父兄からそう言った来られたら?「うちの学校でいじめ問題などあるはずがない」とか「面倒くさい事を言ってきた」と思うのではないでしょうか?

ここで私自身の経験をお話しさせてください。

私の長女が小学校1年生のときです。田舎の小さな少人数の学校でしたがそこで壮絶ないじめに遭いました。転校生だった長女は言葉も少し違っていましたし、髪型も天然パーマだったので長く伸ばしてみつあみにしていました。

娘がいじめられていることを知ったのは担任の先生からの報告です。娘の教科書が糊付けされていたり、鍵盤ハーモニカのパイプが鋏で切られていたり、家にイタズラ電話をかけてきたり。今思い出しても背筋が凍ります。ドラマの世界ではなく、実際に起こった事なのです。

救いになったのは担任の先生が本当に良い方で、おそらく自分のお子さんが同じ目に遭ったか、自分がいじめに遭った経験があるか…?

ある時、娘が学校でトイレに行くのが間に合わず大きい方を失敗したことがありました。先生から報告があったとき、信じられませんでした。帰ってきた娘に「次のときはもっと早く行きなさいね」と言った自分が今でも許せません。

しばらくしてまた失敗をしました。トイレの前にみんながいるので行けなかったというのです。恐ろしかったです、この子がいる学校という恐怖の世界。

その日から私は下着の替えをランドセルに入れて「失敗しても大丈夫だからね」と言って送り出しました。

そして私は校長先生に会って、娘が受けているいじめを何とか改善してほしいと直談判に行ったのです。しかし、その時の校長先生はくそでした。

「いじめている側の首謀者の家庭は複雑なんです。」「あなたの娘さんは可愛い顔をしているし、髪の毛もいつも綺麗に整えてあるからみんなから羨ましがられているようです。」

それを聞いて私は絶望しました。この校長はいじめる側の人間だったに違いない、と思いました。こんな人間に何を言ってもダメだと。

唯一、救いだったのは娘は「学校に行きたくない」と1回も言ったことがなかったことです。どんなにいじめられても行きたくないとは言いませんでした。

私は毎日毎日送り出し、迎え、話を聞き一緒に泣いて、大丈夫と言い続けました。

娘にとって良かったことは学校外の活動に参加させたことでした。当時「キャンプを通して自主性を育てる」と言ったような育成団体があって娘はそこがとても気に入って居心地がいいようでした。

そこでは友達もできました。娘にとってはそこが本作で言うところのかがみの孤城のような場所だったのでしょう。

いじめの張本人が卒業して6年生になって娘はやっと安心して学校に行けるようになりました。今思うとあの5年間をよく切り抜けたと思います。引っ越す訳にもいかない、他の学区に行くこともできない逃げられなかった5年間。支え合って耐え抜いた5年間でした。

中学に上がると多人数のなかに溶け込むことはキャンプで経験しているので、生き生きと過ごしていました。いじめていた子たちは逆に孤立していたようでした。

本作を通して作者が伝えたかったことは「もし、いじめられているなら、かがみの孤城が誰かの『城』のような居場所になればいい」また、周りの大人にそのことを話す勇気を持ってほしい。ということでしょう。

いじめは根絶できません。かがみの孤城に召喚された7人の中で最も年長者はスバルで1985年、そして2027年のウレシノがいる世界でもいじめは続いています。

その根絶できないいじめにどう向き合っていくのか、いじめで傷を負った者の心の声をきき、一緒に戦い救う。そして救われた者がまた救っていく、という希望のループが描かれているように思います。

かがみの孤城映画 ネタバレあらすじと感想

あらすじ エピローグ

中学1年生の女の子・安西こころは、おとなしくて内気な性格、これと言った取り柄もなく自分に自信がもてない陰キャキャラ。同級生から受けたいじめが原因で学校に行けなくなりました。

フリースクール「心の教室」に申し込んだ面談の日、担当の喜多島先生と面談します。先生もココロと同じ中学に通っていた、と話します。結局ココロは心の教室にも通えず家に引き籠もる生活を続けていました。

喜多島先生の吹き替えは女優の宮崎あおいさんです。
ということはかなり重要な役回りである事が伺えます。喜多島先生、要チェックです!!!

そんなこころを母親はどう扱っていいか理解できない様子。その日の朝も「おなかが痛い」というこころに「痛いって?どれくらい?行くの、行かないの?行かないのね、わかった」と、娘を気遣うよりも「またなの?」と言った感じで娘のことを諦めているようです。

この時点では母親はココロがずる休みをしていると思い込んでいて、

冷たく突き放すように接しています。ここは同じいじめを受けた経験のある子どもを持つ母親として見ていて辛いシーンでした。家族しか味方がいないんです。もっとちゃんと見てあげて、と思いました。

独り残って部屋で過ごしていると突然部屋の鏡が異様な光を放ち始めて、近づいたとたんに吸い込まれてしまいました。

鏡の道を通って孤城へ

吸い込まれた先で目を開けると、そこにはまるで「異世界ゲーム」のような風景が広がっていました。「ようこそ、安西こころさん!お待ちしてました!」オオカミの面を付けた少女が言いました。

訳が分からず、逃げようとしたココロの背中に飛び乗り羽交い締めするオオカミ少女。「こっちだっていいかげんうんざりなんだよ、さっさと済ませたいんだよ」と乱暴にココロの足を掴んで引っ張っていきました。

「平凡なお前の願いをなんでも1つ叶えてやる、つってんだぞ!」そういいながらオオカミ少女は城の扉を開け、ココロを引きずったまま入っていきました。

城の中には他にも同い年くらいの子たちが6人「みんなあなたを待っていたのよ」と言うではないですか。困惑するココロ。

オオカミの面をかぶった少女はみんなに「オオカミさま」と呼ばせて、その場を仕切っていました。

オオカミの子、可愛い服を着ているのに言葉遣い乱暴でギャップがいい!

異世界ファンタジーとかもうみんな見慣れすぎていて、麻痺してる感は否めません。

それは視聴者だけに限らす作る側はもちろん、物語の中の人物設定も同じです。鏡の中に入ったっていうのに「まあ、あるっちゃあるよね」的にスンナリ受け入れているところが日本の文化なのでしょうかね~。

ココロを含めた7人がなぜこの場所に集められたのでしょう?「お前の願いをなんでも1つ叶えてやる」と言っていましたが…。

『集められた目的と城のルール』

城の中にはどんな願いも叶えることができる「願いの部屋」がある。
ただしその部屋の入れるのは7人のうちの1人だけ。
願いの部屋の入るためには鍵が必要。

誰かがこの城のどこかにある鍵を探し出し、願いを叶えた時点でゲームオーバー。
鏡の道も閉じてこの世界にはこれなくなる

✅期限は今日から来年の3月31日まで
✅城と現実世界は鏡を使って行き来できるが朝9時から夕方5時の間だけ。
✅午後5時以降に1人でも残っていると、その日に城内にいた者は連帯責任で狼に喰われる。

突然そんなわけのわからない状況に立たされた7人ですが、とりあえずそれぞれ自己紹介をしました。リオン、フウカ、マサムネ、ウレシノ、アキ、学年は違いますがみんな中学生でした。

そこに4時45分の鐘が鳴り響きました。みんなは慌ててそれぞれ自分の鏡の中に入って現実界に戻っていきました。

ココロの叶えたい願いとは?

オオカミさまに願いが叶うと言われましたがココロには叶えたい願いが何なのかピンときませんでした。

ココロはみんながカギを見つけたら何を願うのか気になりましたが、あえて聞きませんでした。聞くと自分の願いも言わなくてはならないから。

何度も通って、みんなとも慣れてココロにとって孤城は居心地のいい場所になっていったのでした。

夏休みのある日、城に集まっているときウレシノがみんなからからかわれたことが原因で「2学期から学校に行く!」と言って城に来なくなりました。結局、また学校でボコられて傷だらけになって城に戻ってきました。

仲のいい7人でしたが、ウレシノに対していじめと言うほどではないにしてもいじったり嘲ったりの変な空気ができてしまいます。いじめられてきた被害者の集まりなのに、そこにもいじめの構図が存在することが怖いところでもあります。

いじめられてきた子がある日突然いじめグループに仲良くされる、ということがあります。それもいじめる側のゲームなのですが、いじめられているグループにいる子たちはお互いに仲良くはしません。いつ外されるか、仲間にされるかわからないからです。

今回は孤城という隔離された場所だからいじめられてきたもの同士が思いやれる場所になっているのです。

家に帰ると母親との間は相変わらずギクシャクしたままでしたが、母親から喜多島先生がココロが学校に行けていないのはココロのせいではなくて、何かあったのではないか?と言っていると聞きました。

母親が喜多島先生と会って自分のことを話し合っていると聞いて、母親に対するココロの気持ちは少し変わったようでした。

喜多島先生が家に訪ねてきた時にココロは
「私が学校にいけないことを私のせいじゃないとお母さんに言ってくれたのは先生ですか?どうしてですか?」と聞きます。

喜多島先生は
「だってココロちゃんは毎日戦っているでしょ?」
そういって、「お気に入りの紅茶」をプレゼントしてくれました。それはストロベリーティーのティーバッグでした。

はい、ここも注目です!ストロベリーティーのプレゼントティー♪
要チェックです!

10月―――
やっとみんなは本腰を上げて「願いの部屋」の鍵探しに取り掛かりました。誰が鍵を見つけても、みんなで話し合って誰が使うのがいいのかを決めよう!そしてたとえ鍵を見つけても3月になるまでは使わない、と。

みんなが鍵探しに協力している姿を見てオオカミさまが現われ、助け合いは美しい!と手をたたいて喜びました。ですが最後に「言い忘れていたことがある」と、2つのことをみんなに伝えます。

✅誰かが願いを叶え、この城から出た時点で全員の記憶が消える
✅3月31日までに見つからず誰の願いも叶わなかった場合は記憶は継続し、孤城でのことを覚えておける

どちらを選ぶかはお前たち次第、と言って消えました。

ココロはなぜ学校に行けなくなったのかをアキとフウカに告白します。家の近所に引っ越してきた転校生のもえと仲良くなったココロを嫉んだ美織が、ココロからもえを引き離しボッチにしたのが始まりでした。ココロは美織たちから犯罪まがいの嫌がらせを受けてきたのです。

いじめの描写があまりにもリアルすぎて重いです。

ココロを学校に行けなくした張本人の美織は明るくてクラスの中心的存在、先生からも信頼を得ている人気者です。しかし裏では恐ろしいいじめをしていました。

ターゲットの心を折って壊れていく様子をまるでゲームをするように楽しんでいたのです。

先生や大人の前では反省していると泣いて見せるが裏では舌を出してバカにしている、とことん腐った人間です。そういう子は残念ながら実際に存在します。

イジメる側にも心の傷があるんだからそこを考慮して、などと言いますが

そう言った先生も実はいじめる側にいた人間だったりします。

ココロはこのことを親に言えず、ずっと胸にしまっていました。ココロの願いは美織がこの世から消える事でした。美織が消えればすべて元通りになると。アキとフウカはココロが受けてきた壮絶ないじめを聞いて絶句しました。

全員が雪科第五中学校の生徒

12月に入っても鍵探しは続けられていました。

ある日アキが制服姿のまま鏡を通って孤城に現れました。まるで何かから逃げるように…。その制服を見てみんな驚きました。同じ中学校の生徒だったのです。ハワイの寄宿学校に行ったリオンも最初は同じ中学に最初行く予定でした。

オオカミさまは「私たちに何をさせたいの?」と聞くフウカに「おまえたちには別に何も望んでいない。ただこの孤城と願いが叶う鍵探しの権利を与えただけだ」

現実界に戻るとココロは「このまちのどこかにあの子たちがいるんだ」と味方ができたような暖かい気持ちになったのでした。そしてその夜、初めて母親にこれまでのいきさつを話しました。

母親はココロの告白を聞いて愕然としました。そしてココロを抱きしめて、気付いてあげれなかったことを謝りました。「一緒に戦おう!」

心の学校の喜多島先生も親身になって学校側との交渉や、いじめの張本人美織やグループを遠ざけるために力を尽くしてくれていました。

孤城で過ごしたことで少しだけ強くなったココロがやっと母親にこれまでの事を話せました。

よかった!この後から母親は仕事よりもココロを優先して話を聞き、無理強いせず、ココロの気持ちに寄り添いながら、そしてココロがどうしたいかを決めさせました。

いくら味方は家族だけだと言っても、心を開かなければ助けようがありませんものね。喜多島先生の協力も得て学校とも毅然とした態度で立ち向かってくれるようになりました。

もし自分の子供がいじめにあっていたら、ココロの母親のような対応ができますか?父親はどうですか?協力してくれる人はいますか?

そんな中、マサムネがみんなに頼みごとをしました「1日でいいから3学期に学校に来てくれないか。学校にいけないと親に転校させられてしまうんだ。俺たちがみんな同じ中学校なのは、みんなで助け合う為じゃないのかと思うんだ、だから助けてほしい」

ココロはその頼みを聞いて3学期の1日目、勇気を出して学校に向かいました。学校に行くんじゃない、孤城のみんなに会いに行くんだと言い聞かせて。

…しかし、メンバーは誰一人来てはいませんでした。本当にみんな同じ学校の生徒なのでしょうか?

その後、孤城で集まったメンバーはそれぞれ学校に行ったけどココロとおなじように誰にも会えなかったことを話し合いました。

マサムネはみんな学校に行ったのに会えなかった理由を「パラレルワールド」にいるからじゃないか?と推察しましたがオオカミさまは「会えないこともない」と言います。

オオカミと七ひきの子ヤギ

3月になっても鍵探しは難攻していました。城の中のあちこちに不可解な「✕」印を見つけることはできましたがそれが何を意味するのかは分かっていません

ある日の夕方、ココロは転校するもえに誘われて家に行き話をしました。もえは美織たちのいじめグループに引きずられてココロを助ける勇気がなかったことを謝ります。帰り際、ココロは玄関に飾ってあった1枚の絵に目が留まりました。

それは「オオカミと七ひきの子ヤギ」の絵本で子ヤギたちがあちこちに隠れ、オオカミが探している絵でした。孤城で起こっている事と七ひきの子ヤギになんとなく共通点を感じたココロはもえに頼んでその絵を借りました。

絵を持って帰ると、部屋の鏡が割れていてかろうじて残っている部分からリオンやスバルが呼びかけてきました。

「アキがルールを破って5時を過ぎても戻らなかった、そしてオオカミに喰われた」
「僕たちもじきにオオカミに喰われる」
「鍵を探してアキを助けてくれ」

そしてオオカミの遠吠えが…。

ココロは急いでかろうじて残っていた鏡の狭い道を通って孤城に行きました。広間ではみんなの鏡が割れて砕けていました。ソファーやオルゴールがひっくり返り、戸棚や食器が床に散乱していました。

ココロは絵で子ヤギが隠れている場所と孤城を照らし合わせてみんなが「✕」が付いていた、と言っていた場所をさがします。

「✕」の文字にココロが手をかざすと、不思議なことに手のひらに吸収されていきました。そうやって、ココロは6つの「✕」を見つけて集めました。

城の中のあちこちに書かれたXの文字が
七ひきの子ヤギが隠れた場所の印だったのですね。

最後の七つ目がどこにあるか、心当たりがありました。それはホールの大きな柱時計の中です。オオカミから姿を隠すにはぴったりの場所。でもその扉は手の届かない高い位置にあったのです。

「願いの鍵がある場所は柱時計の中なんだね!」とココロが言い当てると、柱時計の中から光の階段が現れました。

ココロはその階段を上って柱時計の中に飛び込みました。そしてついに鍵を見つけたのです。その鍵を手にしたとたん、みんなが学校に行けない原因になったビジョンが見えました。

ゲームのことでつい嘘をついてしまい、みんなから嘘つきと言われたマサムネ
食べることが好きで、それを同級生に馬鹿にされていたウレシノ
祖父から父親の悪口を聞かされ続けてきたスバル
大きすぎる親の期待に応えられないにフウカ
姉が病気で亡くなったとき母親から「あなたは元気でいいわよね」と言われたリオン
そして…
母親の再婚相手にレイプされそうになったアキ、逃げ切れなくなったときオオカミさまが咄嗟に作ってくれた手鏡の道を通って孤城に逃げたのでした。

あの男がいる家に帰りたくないアキは5時になってもタンスの中に隠れていました。そして、そのとき孤城にいたココロ以外の全員がオオカミに喰われてしまったのです。

ココロは鍵を使って願いの部屋の扉を開けました。そして躊躇することなく「アキちゃんを助けてください、ルール違反をなかったことにしてください!」と頼みました。

いくつもの鏡の中を通ってアキの姿を追いました。戻りたくないアキは逃げますが、ココロは必死に追いかけてついにアキの手を握りました。すると他のメンバーも現れて一緒になってアキを引っ張り連れ戻すことに成功したのです。

みんなは無事、元に戻りました。ココロは願いの部屋で見たビジョンで、みんなが学校に行ったのに会えなかった理由に気が付きました。

それぞれが中学校にに在籍した年代を書き出すとみんなバラバラで、時間軸の違う場所から集められたのでした。

確かに伏線はありましたね。やけに落ち着いているスバルがマサムネのゲームに関心を持ち、コンピューターを勉強したいと言ったり、アキの服装がなんとなく1990年代だったり

古い順にスバル、アキ、ココロとリオン、マサムネ、フウカ、そしてウレシノ。年代を見るとそれぞれ7年間隔になっていますが、アキとココロ・リオンの間だけ14年も離れています。

その間に誰か一人いるはず…。

オオカミさまの正体

リオンはオオカミさまの正体に気が付いていました。願いが叶っていよいよみんなが鏡の孤城を去るとき、オオカミさまに向かって「姉ちゃん!」と呼びかけます。期限の3月31日はリオンの姉が亡くなった命日だったのです。リオンの姉はみんなと同じように病室から鏡の道を通って孤城に来ていたのでした。

城を去るときみんなは城の壁に名前を書きました。ココロはアキに「14年後の未来で待ってる、会いに来てね!」と言いました。

そして一人一人鏡の中へ入っていきました。ココロが去ったあと最後に残ったリオンはオオカミさまに頼みごとをします。

「俺、みんなのことを覚えていたい!オオカミさまのことも!」

オオカミさまは「善処する」と言いながらオオカミの面を取ってリオンに顔を見せました。

そうして鏡の道も孤城もなくなりました。ココロがフリースクールに初めて行ったときに担当になった喜多島先生は孤城で出会ったアキでした。アキはカウンセラーになってそれぞれの時代のメンバーたちマサムネやフウカ、ウレシノに寄り添ってサポートし続けてきたのです。

初めてココロがフリースクールに行った日、アキは目の前に座ったココロの手をテーブルの下でそっと包み込むように握りました。そして「大丈夫」と声をかけました。「大丈夫だから。大人になって、ココロ」

喜多島先生や両親がいじめをなかったことのように隠す学校側と戦って、居場所を作ってくれたことで学校に向かう気持ちの強さを持てました。それでも、学校が近づくと足取りが重くなって立ち止まりそうになるココロ。

そんなココロに「同じクラスだね!行こう!」と声をかけてきた男子生徒が。ココロには誰かわかりませんでしたが、それはオオカミさまに記憶を残してもらえたリオンでした。

孤城がなくなったときにみんなの記憶も消えました。だけど、アキはいじめを受けてきた子供たちのサポートをする仕事に就き、それぞれの年代で出会ったいじめにあって不登校になった子たちの助けになっています。

どの時代にもいじめは形を変えながら存在し、ウレシノのいる2027年も続いています。いじめはどんなに時が経っても決してなくならないものであることが描かれています。

かがみの孤城映画 登場人物

安西こころ
中学1年生
いじめが原因で不登校になった

こころの母
こころの本心が分からず悩み

喜多嶋先生
こころを優しく見守るフリースクールの先生で、アキの成長した姿

オオカミさま
孤城を仕切る謎の少女

リオン/水守理音
中学1年生
ハワイに留学させられている

アキ/井上晶子
中学3年生
義父から性的暴行受けそうになる

スバル/長久 昴
中学3年生
両親と離れ、兄と共に祖父母の家で暮らしている

マサムネ / 政宗 青澄
中学2年生
根っからのゲームおたく

フウカ / 長谷川 風歌
中学2年生
母親がピアノばかりに力を入れている。

ウレシノ / 嬉野 遥
中学1年生
家は裕福で同級生からは金づる程度にしか思われていない。

東条 萌
中学1年生
こころの中学校での唯一の友達

真田 美織
中学1年生
こころを一方的にいじめて不登校に追い込んだ張本人。

かがみの孤城 まとめ

アニメ映画『かがみの孤城』のあらすじと感想、考察を私の経験談を交えながらまとめました。いじめはウイルスのように形を変えながら子どもの社会のみならず、大人社会にも蔓延しています。

根絶不可能なこのウイルスとどう戦っていくのかが描かれた『かがみの孤城』本作をご覧になってもしたった今いじめられている子どもがいるなら、大人に伝える勇気を持ってほしいし、お子さんを持つ親御さんはよく観察をして異変を感じ取ってほしいと思いました。

誰かの助けがないとこのループからは抜け出せません。ぜひ、お願いします。

コメント