SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”あらすじ解説&感想

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SHERLOCK/シャーロック、シーズン3の後の「特別編」として2016年に放送された『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』は日本では映画として4週間限定で劇場公開されました。が、そもそも劇場用に製作されたものではないので、初見でご覧になった方は難解だったようですね。

映画というよりもドラマのスペシャル版のこの作品をできるだけわかりやすく、「SHERLOCK/シャーロック」シリーズをまだご覧になっていない方に興味を持って頂けるように解説をさせて頂きます。

今回はSHERLOCK/シャーロック特別編の

・SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”の作品概要
・SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”あらすじ解説
・SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”感想

以上についてご紹介します。

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SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”の作品概要

SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”の作品概要と配信先

「SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁」
製作年:2015年
上映時間:90分
ジャンル:ファンタジー、サスペンス、コメディ
監督:ダグラス・マッキノン

現在の配信先 Amazonprime Hulu  アップルtv

SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”の制作秘話

元々、現代版としてヒットした後、製作者のスティーヴンとマークが取材で「シャーロックがネット環境やスマホを持っていなかったらどうでしょうか?」と聞かれ、「そもそもホームズの時代はスマホはなかった」と答えている中で、舞台をヴィクトリア朝に戻すかと冗談半分で話していたそうです。

その冗談が実現した訳ですね、スマホの代わりに「電報」を使ったりと、電子機器のない時代にシャーロックの頭脳をどう表現するのかが楽しみ。

冒頭でシーズン3までの全話のハイライトが流されましたが、観た人ならば「ああ、あのシーンね」と解ります。しかし、そのハイライトのシーンにも混乱を招く要素があります。それは、シーズン3の最後に死んだはずのモリアーティがメディアジャックして登場したシーン。そして更に、そのシーンに至った理由はシーズン4を観ないと解決できません。

ですので、制作陣がどんな効果を狙って「忌まわしき花嫁」を製作したのかが分かり辛いのです。 SHERLOCK/シャーロックの新たなファンを作りたいのか、それともコアなファンに向けてのスペシャル版なのか???

私の見解としてはコアなファンに向けての挑戦状のように思いました。読み解いてやるぞ!!!という闘志みたいなものが沸き上がりましたから。

SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”あらすじ解説

”忌まわしき花嫁”あらすじ解説 マインドパレス

この物語のほぼすべてはシャーロックの脳内のマインドパレスでの出来事、というかシャーロックの思考で構成されています。

マインドパレスとは、自分がよく知っている建物(家、仕事場、学校)に、覚えたいことを頭の中で配置していくというもの。記憶術の一つです。

“Mind Palace” 「マインドパレス」は ”Memory Palace” とは頭の中に記憶の置場(棚、小箱、冷蔵庫、鏡等あらゆる場所に)記憶をしまい込み、記憶を呼び戻す必要があれば目を瞑り それぞれの記憶を仕舞った場所に行きそれを取り戻す方法です。

おもしろいツイートがありましたのでお借りしてきました。

シャーロックのマインドパレス図

Sex Driveというスペースがあり、どくろマークがあるので触れてはならない(触れたくない)場所なのでしょうね。
後に登場する「恐喝の帝王マグヌセン」も脳内にマインドパレスを構築し大勢の秘密を保存していました。

”忌まわしき花嫁”あらすじ解説 プロローグ

この話の結論を先に言うと「会いたかった?」と言ってメディアに現れたモリアーティが本当に生きているのか、死んでいるのかをシャーロックが証明する。という単純なものです。

シーズン3の最終話「最後の誓い」でシャーロックが恐喝の帝王「マグヌセン」を撃ち殺した事で亡命させられることになり、ジェット機に乗せられ飛び立ちました。

その直後に死んだはずのモリアーティが復活したかのようなメディアジャックがありテレビを始めあらゆる機器にモリアーティのふざけたコラージュと「会いたかった?」が連呼されました。この事で、飛んで4分しかたっていないのにシャーロックは呼び戻されたのです。

この呼び戻されて飛行機が着陸するまでの4分間に起ったシャーロックの脳内での出来事と思考を映像化した本作を読み解いていきたいと思います。

”忌まわしき花嫁”あらすじ解説 モリアーティとリコレッティ

マイクロフトから戻るように電話がありモリアーティのメディアジャックを聞いたシャーロックは
ある事件を思い出しました。それは100年前に起った未解決事件エミリア・リコレッティの「忌まわしき花嫁」事件。 モリアーティのように拳銃で自殺したリコレッティ夫人が生き返り、復讐していくという不可解な事件です。

ここで瞬時に、その事件を思い当たるところが凄い!!!

そして自分だったらどうやって1895年の事件を解決したか知るために、マインドパレスに行き深くまで潜っていたのです。そこまで潜るために必要なのがドラッグの力。真相に近づくため、脳神経を極限まで活性化させる必要がありました。

ここから先はシャーロックのマインドパレスでの思考経路にそった出来事になっています。

”忌まわしき花嫁”あらすじ解説 舞台は19世紀

シーズン1の第1話「ピンク色の研究」でジョン・ワトソンが負傷兵として帰国した場面へ。しかしそこは19世紀末の時代。全く同じ状況でシャーロックに出会い、ルームシェアすることになります。
ここでもシャーロックは死体に鞭打っています。違うところと言えば、鞭を打つ速さが格段と早くなっていて笑えました。

ジョンはブログではなく、雑誌にシャーロックの事件を書いています。その中でもシャーロックが手がけた中でも最も困難な、肉体と精神を極限まで追い詰める事になった「忌まわしき花嫁」事件について物語が展開していきます。

ある時レストレイド警部がシャーロックの元に奇妙な事件を持ち込みます。
結婚記念日に花嫁衣装を着て頭を銃で撃って自殺したエミリア・リコレッティ。霊安室に遺体の確認に行く途中の夫の前に、死んだはずのエミリアが現れて夫を撃ち殺しました。

”忌まわしき花嫁”あらすじ解説 「彼はなぜ生きている?」

奇妙さを気に入ったシャーロックは事件解決に乗り出します。霊安室でエミリアの死体を前に検視官フーパー(なぜかあのモリー・フーパーが男装しています)から検視の報告を聞いている時にシャーロックは一瞬だけトリップします「弾は脳を貫通したのにはなぜ生きている?」彼女ではなく「彼」と言います、この時の彼とはモリアーティの事です。

「もう仮説はあるんだろう?」と聞くジョンに「今はまだ水の中にいる、もっと深く潜らなくては…」と答えるシャーロック。 この言葉がかなり鍵になっています。

その後、5人もの男が同じ殺され方をしてお手上げ状態のレストレイド警部に、「単純な事件、便乗犯の仕業だ」とあっさり言ってのけるシャーロックですが…。

一方、ジョンの妻メアリーは別の角度から事件に係わってきます。それはシャーロックの兄、マイクロフトからの依頼を受けて動いている事です。この時代のマイクロフトは激太りしていて、動けないほど。スターウォーズのジャバ・ザ・ハットみたいです。

”忌まわしき花嫁”あらすじ解説 レディ・カーマイケルの依頼

そのマイクロフトに呼びつけられ、ディオゲネス・クラブに行くシャーロックとジョン。呼び出した理由は「レディ・カーマイケル」の言う夫人の依頼を受けるように、との命令でした。そして、レディ・カーマイケルがシャーロックを訪ねてきました。

夫ユースタス・カーマイケルの元に届いた「5粒のオレンジの種」、それを見た時ユースタスは凍り付きました。夫人が「これは何?」聞くとユースタスはおびえた様子で「死神だ」と言いました。オレンジの種の意味は「処刑を予告するもの」。

それから様子がおかしくなったユースタスが、夜明けに屋敷を抜け出し庭園に向かう姿を見つけた夫人は後を追いました。現われたのは死んだはずの花嫁姿のエミリア・リコレッティでした。あまりの恐怖に気を失ったユースタス。

レディ・カーマイケルの相談とは「屋敷を離れた方がいいのか?」というものでしたが、シャーロックはすぐに帰るようにと夫人に言い、ジョンとともにカーマイケル邸に向かいました。シャーロックは夫のユースタスに会い、エミリア・リコレッティとの経緯を教えるように言いますが、そんな女は知らない。とユースタスはしらを切りました。
その夜、シャーロックとジョンの警備をすり抜けた犯人にユースタスは殺害されました。

”忌まわしき花嫁”あらすじ解説 ホッと一息

カーマイケル邸で張り込みをするシャーロックとジョン。この時の二人の会話がいたって普通の男同士の会話すぎて笑えました。難解な「スペシャル版」の中でホッと一息つけるシーンでした。

テーマは「結婚」について。シャーロックが懐中時計の中にアイリーンアドラーの写真を入れている事を盗み見したジョンがその事に言及し、なぜ一人でいるのか?君だって生身の人間だ、感情もあればいろいろ経験もしただろう?と聞きます。

するとシャーロックは「なんの経験だ!?」と「経験」の部分に噛みつきます。恐らくこの時代でも童貞なのでしょう。人間と、特に女性との関係を持とうとしないシャーロックに「君はなぜそうなった?」と質問するジョン、シャーロックの答えは「僕を創ったのは僕自身だから」

”忌まわしき花嫁”あらすじ解説 マルチバースなマインドパレス

ベネディクト・カンバーバッチだけに「SHERLOCK/シャーロック」においてもマインドパレスでさえマルチバースです。

マイクロフトの依頼で独自に調査をしていたメアリーから電報が届きます。なぜメアリーが!?と心配するジョンですが、メアリーはこの時代でも凄腕のエージェントです。メアリーとの合流先はかつて教会だった場所。

そこには長いローブに身を包み頭巾をかぶった大勢の人が集まっておりカルト教団のように見えました。そこにいる全員が女性で、中には見知った顔も。

死体安置所で男装の姿で検視をしていたモリー・フーパー、ジョンの屋敷のメイド、そしてマグヌセンの秘書で捜査のためにシャーロックに利用されていたジャニーンまでもがマルチバースを飛び越えて存在していました。男どもに利用され、嘘をつかれ、裏切られ、ないがしろにされ、見くびられた女性たち。

しかし、なぜレディ・カーマイケルは殺す予定の夫をシャーロックを雇って守らせようとしたのか?シャーロックがそれをレディ・カーマイケルに問いただすと、レディ・カーマイケルはモリアーティに変わっていました。

”忌まわしき花嫁”あらすじ解説 モリアーティの存在

何度となくモリアーティの言葉に影響を受けて、振り回されてしまうシャーロック。

シャーロックの精神世界に介入してくるモリアーティの存在、シャーロックのハードディスクに入り込むウイルス「モリアーティ」、シャーロックの弱点「モリアーティ」この存在を消さなければシャーロックに進む道はありません。

モリアーティに殴られて絶体絶命のシャーロックそこにジョンが登場!!!
ここでジョンがシャーロックにとってどれほど大きな存在であるかが証明されました。

結果的に滝に突き落としてモリアーティにの存在を消しました。この「モリアーティの存在を消す」という事が本作においての大きな目的でした。

シャーロックもモリアーティの存在を消す事ができてやっと精神の宮殿から戻ってきました。「会いたかった?」と言って目覚めるシャーロックのおちゃめで憎たらしい事といったら。

やっとジェット機から降りるシーンになりました。
ジョンが「モリアーティは生きているのか?」と聞くと「僕は“戻った”と言ったんだ、死んでいる事は薬をやってまで証明した」「しかもやつが次に何をするかまで解っている」と言ってニヤリ。

 



SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”感想

たった4分間の内に起ったシャーロックの脳内での出来事を、このような形で描かれるとは恐れ入りました、と言う感じです。 難解は難解でした、注意深く見ていかないと理解できない内容ではあります。なのでやはりシーズン3を観てからの視聴をお勧めします。

紐解いてみると、構図は単純なもので「死んだはずの男がメディアに現れたからと言って生き返った訳ではない」という事をこねくり回して証明する、というようなもの。そのほとんどが「マインドパレス」と言われる精神世界での出来事です。

そこを理解したうえで観ると、初見の方にも受け入れて頂けるのかな。

この難解と評判の「忌まわしき花嫁」の中にもジョンとの友情やマイクロフトの弟思いの愛情が見てりてたのは目がしらが熱くなりました。

マインドパレスに深く潜るためにドラッグが必要だったシャーロックですが、マイクロフトはシャーロックが摂取したドラッグリストを作る事を義務付けしていました。シャーロックはどんな路地裏、安宿で見つけられても分かるように摂取した薬物のリストを作っておくことをマイクロフトと約束していました。事件解決のためには躊躇なく危険な中に身を投じる弟を案じている兄の想いが伝わるシーンでした。

リストを渡す前にマイクロフトに嫌味を言うシャーロックが、「兄のいう事を渋々聞く弟」感が出ていて面白かった!。
シャーロック:「太ったろ?ベストが新しくなってる」
マイクロフト:「いい加減にしろ」

兄弟の愛あるやりとりですね。ここだけではなく、マイクロフトは折に触れシャーロックを案じています。 ジョンに「弟をどうかよろしく」と頼み、シャーロックが破り捨てたドラッグリストを拾い集めて手帳にしまいました。

そして伏線が一本…。
それは「赤ひげ」というキーワード。本作には2回この言葉が出てきます。これはシーズン4につながる伏線。気になりませんか?なりますよね~! そもそも、誰がどうやってメディアジャックしてモリアーティの映像を流したの???

 

SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”まとめ

今回は難解と言われるSHERLOCK/シャーロックの特別編

・SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”の作品概要
・SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”あらすじ解説
・SHERLOCK/シャーロック”忌まわしき花嫁”感想

以上についてご紹介しました。

また、「SHERLOCK/シャーロック」シーズン5はあるのか?などについてまとめた記事も書いておりますので、参考にしてください!

 

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最後までお読みくださりありがとうございました。(Pinoko編集部)

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